介護費用に備えたいと思っても、どの保険を確認すればよいのか分からない人は少なくありません。医療保険、介護保険、死亡保険は、名前は聞いたことがあっても、役割の違いが分かりにくいものです。
公的介護保険を利用できる場合でも、家計から出ていくお金はあります。介護サービスの自己負担、施設の食費や居住費、日用品代、通院交通費、住宅改修費などです。民間保険は、こうした支出や家族の負担に備える手段の一つとして考えられます。
公的介護保険だけでは足りない支出がある
公的介護保険では、要介護認定や要支援認定を受けた人が、訪問介護、デイサービス、福祉用具貸与、施設サービスなどを利用できます。サービス費用には自己負担があり、所得に応じて負担割合が変わります。
ただし、介護で必要なお金はサービス費用だけではありません。施設を利用する場合は、食費や居住費、日常生活費が必要になることがあります。在宅介護でも、介護用品、通院交通費、見守り用品、家族の交通費などが発生します。
長期化すると家族の負担も大きくなる
介護は期間を予測しにくいものです。短期間で終わることもあれば、何年も続くこともあります。毎月の支出が長く続けば、親の年金や預貯金だけで足りるのか、家族がどこまで支えられるのかを考える必要があります。
医療保険は入院や手術への備え
医療保険は、病気やけがによる入院、手術、通院などに備える保険です。介護そのものを保障する保険ではありませんが、介護の前後で入院や治療が発生することはあります。
たとえば、親が転倒して骨折し、入院や手術を受けたあとに介護が必要になるケースがあります。この場合、医療保険の保障対象になれば、給付金を受け取れる可能性があります。
確認したいポイント
医療保険では、入院給付金、手術給付金、通院保障、先進医療特約、三大疾病への保障などを確認しましょう。古い契約の場合、保障内容が現在の医療事情に合っていないこともあります。
民間の介護保険は介護状態への備え
民間の介護保険は、所定の介護状態になった場合に、一時金や年金形式で給付を受けられる保険です。公的介護保険とは別の仕組みで、保険会社や商品によって支払条件が異なります。
まとまった一時金が出るタイプであれば、住宅改修、介護ベッドの購入、施設入居時の費用などに充てることが考えられます。年金形式で受け取るタイプであれば、毎月の介護費用を補う目的で使いやすい場合があります。
支払条件を必ず確認する
民間の介護保険は、要介護何以上で支払われるのか、認知症の場合に対象になるのか、一定期間状態が続く必要があるのかなど、条件の確認が欠かせません。
「介護に備える保険」という名前だけで安心せず、どのような状態になったときに給付されるのかを具体的に確認しましょう。
死亡保険は万一の後の費用に備える
死亡保険は、被保険者が亡くなったときに、受取人へ保険金が支払われる保険です。介護中の費用を直接まかなうものではありませんが、葬儀費用、未払いの医療費、施設費用の精算、家族の生活費、相続時の現金準備に関係します。
親の財産が不動産中心で現金が少ない場合、亡くなった後にすぐ使えるお金をどう用意するかが問題になることがあります。死亡保険金は、受取人が指定されている契約であれば、万一の後の現金準備として役立つ場合があります。
受取人と税金も確認する
死亡保険金は、契約者、被保険者、受取人、保険料を負担していた人の関係によって税金の扱いが変わることがあります。受取人が現在の家族状況に合っているかも確認しておきましょう。
保険見直しは家族の状況に合わせる
介護費用に備える保険は、どれか一つだけで十分とは限りません。医療保険は治療への備え、介護保険は介護状態への備え、死亡保険は万一の後への備えです。それぞれ役割が違います。
親の年齢、健康状態、年金額、預貯金、家族の介護体制を整理したうえで、足りない備えを確認しましょう。すでに加入している保険がある場合は、新しく入る前に保障内容を確認することが大切です。
介護費用は、始まってから急に準備するのが難しい支出です。公的制度、親の貯蓄、家族の分担、民間保険を組み合わせて考えることで、介護する人だけに負担が偏る状況を防ぎやすくなります。





