親の介護は、始まってから話し合おうとしても、冷静に進めにくいものです。入院、退院、介護認定、介護サービスの手配、実家の環境整備など、目の前の対応に追われるからです。

その結果、実家の近くに住む人、親と連絡を取りやすい人、平日に動ける人へ負担が集中しやすくなります。気づいたときには、介護する人だけが時間もお金も使っている状態になっていることがあります。

介護する人だけが損をしないためには、家族で決めておくべきお金の話があります。役割分担、費用負担、緊急時の連絡、親の預金管理、保険の確認を早めに進めておきましょう。

介護の役割を一人に集めない

まず決めたいのは、誰がどの役割を担当するかです。通院付き添い、介護サービスの窓口、施設探し、親族への連絡、費用管理、緊急時の対応など、介護には複数の役割があります。

一人がすべてを抱えると、判断の負担も不満も大きくなります。近くに住む人が現場対応をするなら、遠方の兄弟は資料集め、費用負担、定期的な帰省、親族への連絡などを担当する方法もあります。

できる役割を具体的に出す

家族会議では、「遠いから無理」「仕事が忙しい」だけで話を終わらせないことが大切です。毎週は難しくても月に一度なら通院に付き添える、費用を一定額負担できる、施設の候補を調べられるなど、できる役割を出してもらいましょう。

介護は同じ作業を均等に分けることが難しい問題です。だからこそ、距離や仕事の事情をふまえて、それぞれが現実的に担える役割を決める必要があります。

費用負担のルールを先に決める

介護費用を親の年金や預貯金から支払うのか、足りない分を兄弟姉妹で補うのか、誰かが立て替えるのかを決めておきましょう。ここが曖昧なままだと、近くにいる人がその場で支払い続けることになりやすいです。

介護サービスの自己負担、施設費、通院交通費、日用品代、住宅改修費、家族の帰省費用など、支出項目を分けて考えると話し合いやすくなります。毎月どのくらいかかるのかを見える形にしておくことが重要です。

立て替えたお金は記録する

親のために支払ったお金は、金額が小さくても記録しましょう。日付、用途、金額、支払った人を残しておくと、後から精算しやすくなります。領収書やレシートも保管しておくと安心です。

「家族だから細かく言いにくい」と我慢していると、介護する人だけに負担が残ります。最初から記録する前提にしておけば、お金の話を個人的な不満ではなく、家族全体の管理として扱いやすくなります。

親の預金管理は透明性が大切

親の年金や預貯金を介護費用に使う場合、誰が管理するかを決める必要があります。通帳、キャッシュカード、印鑑、年金の入金口座、公共料金の引き落とし状況を把握しておくと、介護費用の支払いに対応しやすくなります。

ただし、親の口座を一人だけが管理すると、他の親族から不信感を持たれることがあります。入出金の記録を共有し、何に使ったのかを説明できる状態にしておきましょう。

認知症が進む前に確認する

親の判断能力が低下すると、預金の引き出しや契約手続きが難しくなる場合があります。本人が元気なうちに、介護費用として使えるお金、生活費の支払い方法、緊急時の対応を話しておくことが大切です。

保険の確認は家族会議で外せない

介護のお金を話し合うときは、親の加入中の保険も確認しましょう。医療保険、がん保険、介護保障、死亡保障、個人年金保険など、契約があるかどうかで使えるお金が変わることがあります。

確認したいのは、保険会社名、契約者、被保険者、保障内容、給付金や保険金の受取人、保険証券の保管場所です。長く加入している保険ほど、本人も内容を忘れていることがあります。

受取人の確認も重要

死亡保険金の受取人が誰になっているかは、相続時の感情トラブルにつながることがあります。介護を多く担った人と受取人が違う場合、不公平感が出ることもあります。

介護する人だけが損をしないためには、介護中の費用だけでなく、万一の後のお金の流れも確認しておく必要があります。家族で役割、費用、預金、保険を共有しておくことが、介護する人の生活を守る準備になります。

出典:生命保険文化センター/生命保険協会