親の介護が始まると、家族は病院、介護認定、介護サービス、施設探し、生活環境の整備に追われます。その中で意外と後回しになりやすいのが、親が加入している保険の確認です。

「何か入っていたはず」「昔、保険料を払っていた気がする」という程度では、必要なときに給付金を請求できるか判断できません。保険は、加入しているだけでは十分ではありません。家族が存在や内容を把握し、必要なときに手続きできる状態にしておくことが大切です。

請求できる保障を見落とすことがある

親が医療保険やがん保険に加入している場合、入院、手術、所定の治療で給付金を受け取れることがあります。また、民間の介護保険や介護特約がある契約では、所定の介護状態になったときに一時金や年金形式の給付を受けられる場合があります。

しかし、家族が契約の存在を知らなければ、請求手続きに進めません。保険金や給付金は、原則として請求が必要です。自動的に支払われるわけではないため、保険証券や契約内容を確認しないままでは、使える保障を見落とすおそれがあります。

入院から介護へつながるケースもある

高齢の親の場合、転倒による骨折や病気の入院をきっかけに、退院後の介護が必要になることがあります。このとき、入院や手術に対して医療保険の給付対象になる可能性があります。

介護そのものにばかり目が向くと、入院や治療に関する保険請求を忘れてしまうことがあります。介護が始まったときこそ、医療保険やがん保険の内容も確認しましょう。

古い契約ほど内容を忘れやすい

親世代の保険は、加入してから長い年月が経っていることもあります。若いころに入った保険、勤務先を通じて入った保険、子どもの独立後に見直した保険など、複数の契約が残っている場合もあります。

長く続けている保険でも、現在の生活に合っているとは限りません。保障が手厚すぎて保険料負担が重いこともあれば、介護に関係する保障が不足していることもあります。

保険料だけで判断しない

毎月の保険料が高いからといって、介護時に役立つ保障が十分とは限りません。反対に、古い契約の中に現在では貴重な保障が残っている場合もあります。

解約や見直しを急ぐ前に、保障内容、支払条件、保険期間、受取人を確認することが必要です。内容が分からないまま判断すると、必要な備えまで失ってしまう可能性があります。

認知症が進むと確認が難しくなる

親本人が元気なうちは、保険会社名や証券の保管場所を聞くことができます。しかし、認知症が進んだり、入院で会話が難しくなったりすると、本人に確認できない場面が増えます。

「どこの保険会社か分からない」「通帳から保険料らしき引き落としがある」「郵便物はあるが内容が分からない」という状態になると、家族の負担は大きくなります。一定の条件を満たす場合には、生命保険契約照会制度を利用できることもありますが、まずは家庭内で分かる情報を整理することが大切です。

探すべき書類を知っておく

保険証券、契約内容のお知らせ、保険会社からの郵便物、保険料控除証明書、通帳の引き落とし履歴などが手がかりになります。実家の引き出し、金庫、書類ケース、仏壇周辺など、重要書類を保管していそうな場所を確認しましょう。

確認したい保険の種類

介護に関係しやすい保険には、医療保険、がん保険、民間の介護保険、介護特約、死亡保険、個人年金保険などがあります。それぞれ役割が異なるため、単に保険会社名だけでなく、何に備える契約なのかを確認する必要があります。

受取人と連絡先も確認する

死亡保険金や給付金の受取人が誰になっているかは重要です。昔のままになっていると、現在の家族状況と合わない場合があります。配偶者が亡くなっている、子どもの一人だけが受取人になっている、介護を担う人と受取人が違うといったケースでは、後のトラブルにつながることがあります。

親の保険内容を知らないまま介護が始まると、請求できる保障を使えないまま費用を家族が負担することがあります。介護準備の一つとして、保険証券の場所と契約内容を早めに確認しておきましょう。

出典:生命保険協会/生命保険文化センター