夫婦でそれぞれ保険に入っていると、保障が重複していることがあります。若いころは必要だった保障でも、子どもの独立や住宅ローンの完済、定年退職によって、今の暮らしに合わなくなることがあります。老後の固定費を減らしたいなら、まず夫婦の保険を一緒に確認することが大切です。

夫婦別々の契約は全体像が見えにくい

保険は、夫婦それぞれが別のタイミングで加入していることが多いです。夫は勤務先で勧められた生命保険、妻は医療保険やがん保険、さらに個人年金保険や共済に入っているという家庭もあります。

この場合、1つずつ見ると問題がなくても、世帯全体で見ると保障が重なっていたり、保険料が高くなりすぎていたりすることがあります。老後は世帯の収入が年金中心になるため、夫婦合計の保険料を確認することが重要です。

最初に確認したいのは毎月の合計保険料

保険見直しでは、保障内容より先に、毎月いくら払っているかを確認しましょう。生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険、介護保険、共済などをすべて書き出します。

夫婦で合計すると、月3万円以上払っている家庭もあります。年金生活で月3万円の固定費は、年間36万円です。10年続けば360万円になります。必要な保障なら意味がありますが、重複した保障なら見直す価値があります。

重複しやすい保障を確認する

夫婦の保険で重なりやすいのは、医療保障、がん保障、死亡保障、特約です。保障が重なっていること自体が悪いわけではありません。ただし、同じ目的の保障を複数持っているなら、本当に必要か確認したいところです。

医療保険とがん保険の重なり

医療保険に入院保障や手術保障があり、さらにがん保険にも入院保障や手術保障がある場合、病気によっては似たような給付が重なることがあります。重複して受け取れるなら安心ですが、その分、保険料も高くなります。

がん診断一時金、入院給付金、通院保障、先進医療特約など、どの保障がどの保険に付いているかを確認しましょう。

夫婦それぞれの死亡保障

死亡保障は、残された家族の生活費に備えるものです。夫婦のどちらが亡くなった場合に、どれくらい生活費が不足するかを考える必要があります。

子どもが独立し、住宅ローンも完済している場合、現役時代ほど大きな死亡保障が不要になることがあります。一方で、配偶者の年金が減る、葬儀費用を用意したい、介護費用を使った後の生活費が不安といった場合は、一定の保障を残す意味があります。

受取人と契約者も確認する

保険の見直しでは、保険料や保障額だけでなく、契約者、被保険者、受取人も確認しましょう。長年放置していると、受取人が古いままになっていることがあります。

家族構成が変わったら受取人も見直す

結婚、離婚、子どもの独立、親の死亡など、家族構成が変わると、保険金の受取人を見直す必要が出てきます。受取人が現在の意思と合っていないと、万一のときに家族が困ることがあります。

また、相続のことを考える場合、誰が保険金を受け取るかは重要です。自分だけで判断せず、必要に応じて保険会社や専門家に確認すると安心です。

夫婦で保険証券を並べて確認する

保険の重複を見つけるには、夫婦の保険証券をすべて並べるのが一番わかりやすい方法です。紙の証券が見当たらない場合は、保険会社のマイページや契約内容のお知らせを確認しましょう。

書き出す項目

項目確認する内容
保険会社名どこで契約しているか
保険種類生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険など
毎月の保険料夫婦合計でいくら払っているか
保障内容死亡、入院、手術、通院、がんなど
保険期間いつまで保障が続くか
更新時期保険料が上がる可能性があるか
受取人現在の家族構成に合っているか

固定費を下げる見直し方法

生命保険文化センターでは、保険の見直し方法として、保障を増やす方法だけでなく、保険金の減額や特約の解約なども案内しています。現在の契約によって選べる方法は異なりますが、保険料を抑える選択肢がある場合もあります。

保障額を減らす

大きすぎる死亡保障がある場合は、保障額を減らすことで保険料を下げられることがあります。子どもの独立や住宅ローン完済後は、必要保障額が下がっている可能性があります。

特約を外す

主契約に複数の特約が付いている場合、使う可能性が低い特約や、別の保険と重複している特約を外せることがあります。特約の解約で保険料が下がる場合もあります。

更新しない保障を選ぶ

更新型の保険は、年齢が上がると保険料が高くなることがあります。更新時に保障内容を確認し、必要な保障だけ残すことも検討できます。

見直しでやってはいけないこと

保険料を下げたいからといって、必要な保障まで急に削ってしまうのは避けたいところです。特に高齢になると、新しい保険に入り直すのが難しくなることがあります。健康状態によっては加入できない場合もあります。

現在の保険を解約して新しい保険に切り替える場合は、新しい契約が成立してから古い保険を解約するなど、保障が途切れないように注意しましょう。

夫婦で相談すると見直しが進みやすい

保険は、本人だけでなく配偶者の生活にも関わります。夫婦のどちらかが勝手に解約すると、万一のときに困ることがあります。老後の家計を守るためには、夫婦で保険料、保障内容、受取人を確認し、必要な保障を共有しておくことが大切です。

自分たちだけで判断しにくい場合は、保険相談やFP相談を利用し、夫婦合計の保険料と保障内容を見てもらう方法もあります。重複を整理できれば、老後の固定費を減らしながら、必要な備えを残しやすくなります。

出典:生命保険文化センター「生命保険の見直しと留意点」/金融庁「保険を契約している方へ」/日本FP協会「FPに相談する」