円相場を見ようと思っても、何を確認すればよいのか分からない人は多いでしょう。

ドル円の現在値だけを見ても、円安・円高の背景までは分かりません。円相場は、金利、物価、雇用、貿易収支、原油価格、政府・日銀の発言など、複数の材料で動きます。

特に、米国株、投資信託、NISA、外貨預金、FXなどを利用している人にとって、円相場の見方を知っておくことは大切です。

この記事では、円相場を見るときに確認したい経済指標を、初心者向けにチェックリスト形式で解説します。

円相場を見るときに確認したい経済指標

円相場を見るときは、まずドル円の現在値を確認します。

しかし、それだけでは不十分です。現在のレートが円安方向なのか、円高方向なのかを理解するには、過去の推移や背景となる経済指標を見る必要があります。

初心者が確認したい主な指標は以下の通りです。

  • ドル円の現在値とチャート
  • 日米の政策金利
  • 米国CPI
  • 米国雇用統計
  • 日本の物価・賃金・日銀会合
  • 貿易収支と原油価格
  • 政府・日銀の発言や為替介入
  • 自分の投資商品への為替影響

これらをすべて毎日確認する必要はありません。ただし、大きな円安・円高が話題になったときには、どの材料が動いているのかを確認すると理解しやすくなります。

チェック1:ドル円の現在値とチャート

まず確認したいのは、ドル円の現在値とチャートです。

日本銀行は、外国為替市況の日次データを公表しています。(※1)公的な統計として日々の為替相場を確認する場合に役立ちます。

一方、リアルタイムの値動きを見たい場合は、証券会社、FX会社、金融情報サイト、スマートフォンの為替アプリなどが便利です。

チャートを見るときは、1日だけでなく、1カ月、6カ月、1年、5年など、複数の期間で確認しましょう。

短期では円安に見えても、長期ではまだ大きな流れの途中かもしれません。逆に、短期的な円高が長期的な円安トレンドの一時的な調整である場合もあります。

チェック2:日米の政策金利

円相場で特に重要なのが、日米の政策金利です。

米国の金利が日本より高い場合、投資家はドル建て資産を選びやすくなります。その結果、円を売ってドルを買う動きが出やすくなり、円安につながることがあります。

米国では、FOMCが政策金利を決定し、声明や議事要旨を公表します。日本では、日本銀行の金融政策決定会合が注目されます。

円相場を見るときは、「米国の金利が上がりそうか」「日本の金利が上がりそうか」「日米の金利差が縮まるのか広がるのか」を確認しましょう。

チェック3:米国CPIと雇用統計

米国CPIと雇用統計は、ドル円相場に大きな影響を与えることがあります。

CPIは、消費者が購入する商品やサービスの価格変化を測る指標です。米国のインフレ率が高い状態で続くと、米国の利下げが遅れるとの見方が強まり、ドルが買われやすくなることがあります。

一方、雇用統計は米国の労働市場を示す重要な指標です。

雇用が強ければ、米国経済が堅調と見られ、金利が高止まりする可能性があります。反対に、雇用が弱くなれば、利下げ期待が高まり、ドル売りにつながることもあります。

細かい数値まで毎回確認する必要はありませんが、CPIや雇用統計の発表前後は、円相場が大きく動くことがあるため注意しましょう。

チェック4:日本の物価・賃金・日銀会合

日本側の材料としては、物価、賃金、日銀会合が重要です。

日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%を物価安定の目標としています。(※2)物価上昇が続き、賃金も上がっていると判断されれば、日銀の政策に対する見方が変わることがあります。

日銀が利上げに前向きと受け止められれば、円が買われやすくなることがあります。一方、慎重な姿勢が続くと、日米金利差が意識され、円安要因になることがあります。

日本の物価統計、賃金関連ニュース、日銀総裁の発言、金融政策決定会合の内容は、円相場を見るうえで確認しておきたい材料です。

チェック5:貿易収支と原油価格

日本はエネルギーや原材料を海外から多く輸入しています。

そのため、原油価格や天然ガス価格が上がると、輸入額が増えやすくなります。輸入額が輸出額を上回る状態が続くと、円を売って外貨を買う需要が増え、円安要因になることがあります。

反対に、エネルギー価格が落ち着いたり、輸出が伸びたりすれば、貿易収支の改善が意識される場合もあります。

円相場を見るときは、貿易収支が改善しているのか、悪化しているのか、エネルギー価格がどう動いているのかを確認しましょう。

チェック6:政府・日銀の発言や為替介入

急激な円安や円高が進むと、政府・日銀の発言が注目されます。

財務省は、外国為替平衡操作の実施状況を公表しています。(※3)これは、通貨当局が為替介入を行った実績を確認できる資料です。

為替介入への警戒感が高まると、市場では円を買い戻す動きが出ることがあります。

ただし、為替介入は常に行われるものではありません。また、長期的な円相場は、金利差、物価、貿易収支、経済成長などの基礎的な要因に左右されます。

政府・日銀の発言は短期的な値動きに影響しやすいため、急激な為替変動があるときは確認しておきたい材料です。

チェック7:自分の投資商品への為替影響

円相場を見るときは、最後に自分の投資商品への影響を確認しましょう。

米国株、海外ETF、全世界株式の投資信託、外貨預金、外貨建て保険、FXなどは、為替の影響を受けます。

円安になると、外貨建て資産の円換算額が増えることがあります。一方、円高になると、円換算額が減ることがあります。

NISAで海外株式型の投資信託を買っている場合も、為替変動の影響はあります。NISAは運用益が非課税になる制度ですが、為替リスクをなくす制度ではありません。

証券口座の商品ページでは、投資対象、為替ヘッジの有無、信託報酬、基準価額の推移などを確認できます。

円相場は「現在値」よりも背景を読むことが大切

円相場を見るとき、多くの人は「1ドル現在はいくらか」を気にします。

もちろん現在値は大切です。しかし、現在値だけでは、円安・円高の本当の背景は分かりません。

大切なのは、ドル円のチャート、日米金利差、米国CPI、雇用統計、日本の物価、貿易収支、政府・日銀の発言、自分の投資商品への影響をセットで見ることです。

50代以上が資産運用を考える場合は、短期の為替変動に振り回されるのではなく、生活資金を預金で確保し、余裕資金の範囲で投資を考えることが重要です。

円相場は家計にも投資にも関係します。現在値だけを追うのではなく、背景を読みながら、お金の置き場所を考える材料にしましょう。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や為替取引を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の資産状況やリスク許容度を確認したうえで行ってください。

出典:
※1:日本銀行「外国為替市況(日次)」
※2:日本銀行「2%の『物価安定の目標』」
※3:財務省「外国為替平衡操作の実施状況」