墓じまいを考え始めると、墓石の撤去や遺骨の行き先に意識が向きがちです。しかし実際には、お墓まわりや実家の中から、処分に迷うものがたくさん出てきます。
位牌、遺影、仏具、過去帳、卒塔婆、骨壺、墓誌、香炉、線香立てなどは、普通の不用品のように捨ててよいのか迷いやすいものです。家族の気持ちが関わるため、処分方法を間違えると後悔につながることもあります。
墓じまいは、墓石を撤去するだけではなく、故人に関わるものをどう整理するかを考える機会でもあります。
墓じまいで処分を考えるもの一覧
墓じまいの際に処分や供養を考えるものには、次のようなものがあります。
- 墓石
- 外柵
- 墓誌
- 灯籠
- 香炉
- 花立て
- 卒塔婆
- 骨壺
- 仏壇
- 位牌
- 遺影
- 仏具
- 過去帳
- 線香・ろうそく
- 故人の写真や手紙
すべてを同じ方法で処分する必要はありません。供養してから処分するもの、家族で保管するもの、自治体のルールに従って処分するものに分けて考えると整理しやすくなります。
墓石・外柵・墓誌は石材店に確認する
墓石、外柵、墓誌、灯籠などの石材は、基本的に石材店や墓じまい業者が撤去することになります。墓地管理者が指定する石材店がある場合は、その業者に依頼する流れになることがあります。
墓誌には、故人の戒名や名前、没年月日などが刻まれていることがあります。撤去後に処分するのか、家族が一部を残すのか、事前に確認しておきましょう。
見積もりでは、墓石本体だけでなく、外柵、墓誌、灯籠、香炉まで撤去範囲に含まれているか確認することが大切です。
卒塔婆や古い供養物は寺院に相談する
お墓の周辺に卒塔婆や古い供養物が残っている場合は、寺院や墓地管理者に相談しましょう。勝手に処分してよいか判断しづらいものもあります。
寺院墓地では、古くなった卒塔婆をお焚き上げや所定の方法で処分していることがあります。墓じまいのタイミングで、どこまで整理するのかを確認しておくと安心です。
骨壺は遺骨の移動後に扱いを決める
墓じまいでは、遺骨を取り出すときに骨壺も一緒に出てくることがあります。遺骨を新しい納骨先へ移す場合、骨壺ごと納めるのか、別の容器に移すのかは、改葬先のルールによって異なります。
永代供養墓や納骨堂、樹木葬では、指定の骨壺や袋に移し替える場合があります。その場合、元の骨壺をどう処分するかも確認が必要です。
骨壺は故人に直接関わるものなので、普通の不用品として処分することに抵抗を感じる方もいます。供養先や業者に、骨壺の処分方法まで相談しておくとよいでしょう。
位牌は供養してから処分する家庭が多い
位牌は、故人を象徴するものとして大切に扱われることが多いです。そのため、仏壇を処分する場合でも、位牌だけはどうするか迷う方が少なくありません。
位牌を処分する場合は、寺院に魂抜きや供養を依頼する方法があります。仏壇店や供養業者が、位牌の合同供養やお焚き上げに対応していることもあります。
一方で、位牌をすぐに処分せず、小さな仏壇や手元供養の形で残す家庭もあります。家族の気持ちを確認し、残すのか、供養して処分するのかを決めましょう。
遺影や写真は家族で残すものを選ぶ
遺影や故人の写真は、処分に迷いやすいものです。すべてを残すと保管場所に困りますが、何も残さないと寂しく感じることがあります。
おすすめは、家族で残したい写真を数枚選び、他の写真は供養や処分を検討する方法です。データ化して残す方法もあります。
遺影を処分する場合、自治体のごみとして出せることもありますが、心理的に抵抗がある場合は、寺院や供養業者のお焚き上げを利用する方法があります。
仏具は素材ごとに処分方法が変わる
仏具には、香炉、花立て、ろうそく立て、おりん、線香差し、経机などがあります。金属、陶器、木製品など素材が分かれるため、自治体で処分する場合は分別ルールの確認が必要です。
ただし、長年仏壇で使っていた仏具をそのまま処分することに抵抗がある場合は、仏壇と一緒に供養してもらう方法があります。
仏壇処分を業者に依頼する場合は、仏具もまとめて引き取ってもらえるか確認しましょう。仏壇本体だけが対象で、位牌や仏具は別料金になる場合もあります。
過去帳や家系に関わるものは慎重に扱う
過去帳には、先祖の戒名や没年月日などが記録されていることがあります。単なる古い帳面のように見えても、家族の記録として重要な意味を持つことがあります。
処分する前に、内容を確認し、必要であれば写真に撮る、コピーを残す、親族に確認するなどしておきましょう。
墓じまい後に親族から「先祖の記録を見たい」と言われることもあります。家系に関わるものは、すぐに捨てず、残すかどうかを慎重に判断することが大切です。
実家の片付けと同時に進める場合の注意点
墓じまいは、実家の片付けや相続と同時に進むことがあります。この場合、仏壇、位牌、遺影、故人の品、神棚などが一度に出てくるため、何から手をつけるべきか迷いやすくなります。
まずは、供養が必要そうなもの、家族で保管するもの、処分するものに分けましょう。迷うものはすぐに捨てず、一時保管してから家族で確認するのがおすすめです。
遠方の実家で作業する場合は、供養業者や遺品整理業者にまとめて相談する方法もあります。仏壇や位牌だけでなく、遺影や故人の品の供養に対応しているか確認しておきましょう。
処分前に家族で決めておきたいこと
墓じまいで出てくるものを処分する前に、家族で次の点を決めておくと安心です。
- 位牌を残すか処分するか
- 遺影や写真をどれだけ残すか
- 仏壇を供養してから処分するか
- 過去帳や家系の記録を残すか
- お焚き上げや合同供養を利用するか
- 誰が費用を負担するか
- 処分後に手を合わせる場所をどうするか
処分は一度行うと元に戻せません。費用や手間だけでなく、家族の気持ちを確認しながら進めることが大切です。
墓じまいは「何を残すか」を決める作業でもある
墓じまいでは、処分するものに目が向きがちですが、本当に大切なのは「何を残すか」を決めることです。
墓石は撤去しても、位牌を残す家庭もあります。仏壇は処分しても、写真や過去帳を残す家庭もあります。永代供養へ移したあと、家族で年に一度お参りする形を選ぶ家庭もあります。
すべてを捨てる必要はありません。供養して区切りをつけるもの、家族の記録として残すもの、次の世代に負担を残さないために整理するものを分けて考えましょう。
墓じまいは、故人との関係を終わらせることではなく、これからの家族に合った供養の形へ整えることです。処分に迷うものがある場合は、急いで判断せず、家族や寺院、専門業者に相談しながら進めると安心です。
出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」/国民生活センター「墓じまいをしたいが、管理会社から指定の石材店以外での工事は認めないと言われた」/八王子市「改葬に関する手続き」





